無い袖は本当に振れないのか

無い袖は本当に振れないのか

  「無い袖は振れまへん。」

お金がないから払えないと開き直る方の台詞です。

こんな言い分を許してよいのでしょうか。

 

20126月,大阪弁護士会は,全会員を対象に,民事司法に関するアンケートを行いました。

このアンケート中「財産開示手続をどの程度利用するか」という趣旨の問いに対して,「よく利用する。」という回答は0%だったそうです。

 

「財産開示手続」というのは,平成16年に導入された比較的新しい強制執行の一種で,任意に債務を履行しない債務者に,自ら保有する財産を開示させる手続きです。

債務者が任意にお金を払わなければ,その財産を差し押さえて強制的に回収を図るのですが,そもそも差し押さえるべき財産が判明しなければ差押えはできません。

そこで,どんな財産を持っているかを債務者に開示させる,「財産開示手続」が設けられました。

 

アンケートでは,この財産開示手続の利用が,「時折ある。」が10%,「ほとんどない。」が23%,「全くない。」が67%でした。

さらに,「財産開示手続は機能していると思いますか。」という問いに対しては,「十分に機能している。」という回答は4%にすぎず,「機能していないので改善すべきである。」という回答が実に96%に上りました。

 

債務者が財産開示手続に応じない場合30万円以下の過料という制裁がありますが,刑事罰はありません。過料の制裁もあまり発動されていないそうです。

そのため,財産開示手続に応じない債務者が少なくないようです。

その結果,平成16年の制度運用開始以降,全国での申立件数は年間8001200件にとどまっているそうです。

ただし,財産開示手続の過程で,支払方法等について協議が成立する例も一定程度あるようです。

 

しかしながら,協議が成立することは制度本来の目的を達するものではありませんので,是非早期に法改正して制度を強化して欲しいところです。

 

 お金のない人を相手に裁判をしたいというご相談に対し,費用・時間・労力をかけても回収ができないかもしれませんよ,という情けない回答はもうやめにしたいです。

2013.8.30 弁護士宮藤幸一