「壊れた脳 生存する知」(山田規畝子,角川ソフィア文庫)

「壊れた脳 生存する知」(山田規畝子,角川ソフィア文庫)

これは「高次脳機能障害」について書かれた本である。

 

「3度の脳出血で重い脳障害を抱えた外科医の著者。

靴の前後が分からない。時計が読めない。そして,世界の左半分に「気が付かない」・・・。

見た目の普通さゆえに周りから理解されにくい「高次脳機能障害」の苦しみ。

だが,損傷後も脳は驚異的な成長と回復を続けた。」(紹介文引用)

 

この本の特徴は,医師である患者本人が,

自らの症状を医師の視点で観察・分析し,的確に表現している点である。

そのため,「高次脳機能障害」を負った方に見える世界がどのようなものであり,

日々どのような苦難に直面しているのかがリアルに伝わってくる。

と同時に,3度の脳出血を経てなお,

このような本を出版できるまでに回復する脳の再生力に驚かされる。

 

著者が2度目の脳出血を起こした時,お子さんはたった3歳だった。

突然の脳出血に襲われて何とか救急車を呼び,

薄れゆく意識の中でお子さんの手を握り続けたという。

しかしその後,3度目の脳出血を経るも,お子さんの成長と共に著者も回復を続ける。

その後の生活ぶりは続編「壊れた脳も学習する」(同著,角川ソフィア文庫)に詳しい。

 

最近読んだ本の中で,希望を与えてくれた2冊である。

 

                                (H24.5.12 弁護士 江村純子)